化粧品成分 Feed

2013年9月25日 (水)

三相乳化法

こんにちは、商品開発係の平野でございます。

 

マイルドUVミルクを発売して2年ほど経ちました。

こちらの特徴は、保湿成分で油分や日焼け止め成分を乳化するという当時では新しい技術を使用したものです。

三相乳化法とも言われまして、界面活性剤研究の大御所が開発した技術を用いました。

界面活性剤の研究者が界面活性剤を使わない乳化法を編み出すというのは矛盾しているような気もしますが、界面活性剤はかなり研究尽くされている分野で、新しい乳化剤というのはそう簡単には出てきません。

今、化粧品や洗剤で使われている多くの界面活性剤は、50~100年前に開発されたものが今でも現役として開発されています。

そこで乳化剤ではなく乳化方法そのものを見直して開発されたのが三相乳化法です。

乳化剤を使わずに乳化するというのが、最大の特徴で、乳化剤の代わりに発酵由来の天然高分子からなるナノ粒子を使用します。

通常の乳化は油の表面に乳化剤が並び、水に溶けるように働きかけています。

三相乳化は天然ナノ粒子が油や日焼け止め成分の表面を覆い、水に溶解できるようにします。

乳化剤はどちらかというと嫌われやすい成分で、そのため界面活性剤を使わないというニーズは一定に存在しています。その中で、マイルドUVミルクは乳化剤と呼べるものは天然であっても全く使用せず作っていますので面白い商品だと思っています。

ただ、三相乳化法の問題は、乳化に使う天然高分子が高価なこと、安定して乳化するためには、高価な高分子の配合濃度を高くする必要があり、コスト高が災いしてか未だにマイナーな乳化法となっています。

もう少し三相乳化法に注目が集まれば、マイルドUVミルクも日の目が当たる時も来るのかなと期待しています。

2013年9月18日 (水)

白斑問題

こんにちは、商品開発係の平野でございます。

白斑問題が某社以外にも広がるのか注視しています。

トゥヴェール商品ではとくに白斑問題は生じておりません。

ただ、新たな下記のようなニュースも流れています。

美白化粧品で肌がまだらに白くなる「白斑」被害について厚生労働省は10日、カネボウ化粧品以外の9社15製品で計16人の被害報告が寄せられたことを明らかにした。報告は1製品あたり1~2人にとどまっているほか、医師の診断を受けていない例も含まれ、厚労省は「製品との因果関係は不明」としている。

 カネボウ化粧品で被害が相次いだことから、厚労省が8月、薬用化粧品や化粧品のメーカーに同様の健康被害がないか自主点検し、1カ月以内に報告するよう求めていた。「精査が必要」として製品名は公表せず、医薬品医療機器総合機構(PMDA)で内容を分析して結果を公表する。

本来、製品に由来するものでしたら、患者さんの数がもう少し多くてもおかしくはないのですが、1製品あたり1~2人の方ということですので、美白成分が原因であるかどうかはまだわかりません。今後の調査の進展が望まれます。

なお、白斑は、加齢とともに一定割合で生じる病変でもあります。

メラニンを作る細胞は、20代に比べて60代になると半減するためです。

加齢とともにシミが増えるので、メラニンを作る細胞が増えていきそうなイメージですが、実際はその逆で、細胞数は自然減少していきます。(ガン等は別です)

つまり、加齢とはいやなもので、シミが多くできる可能性もあれば、白斑が生じる可能性も同時に高めます。また、病気によりメラニンを作る細胞が減って白斑を生じることもあります。

化粧品による白斑については、5割の方が使用を中止することで回復してきたとの報道もありました。病気の場合は、ステロイド剤で治療を行うことで、白斑の回復があるようです。

2012年10月31日 (水)

まだ、先の話ですが

こんにちは、商品開発係りの平野でございます。

現在、各商品に配合しているEGFですが、医薬品に該当するとの判断が厚生労働省より下される見込みとなっています。

厚生労働省のHP上でパブリックコメントという形で業界の意見を集めていますが、医薬品に相当するとの判断は不可避のようで、おそらく来年に判断が下され、再来年までの流通しか認められなくなりそうです。

医薬品と判断されても1年は流通ができるため、すぐ販売停止になるわけでございませんが、だいたい成分の開発に取り組み始めました。

厚生労働省がこのような判断を下したのは、EGFを推奨する特定業者から作られた某団体が、健康食品への利用を画策して、厚生労働省に問い合わせたところ、健康食品どころか化粧品にも使えないとの流れになってしまったようです。(噂です)

お上に聞いたばっかりにそれまで使用できた成分が突然ダメになるというのは、これまでも繰り返されてきました。今回もまたそのパターンです。

効果があると認められたばかりに化粧品には使えないというのは、不本意ですが、ダメとなる以上、EGFの代替原料についても検討を開始しています。

有力な候補はEGFと同じ働きをするペプチドですが、ほかに良いものがないか探索を行っています。

2012年10月24日 (水)

ピュアビタミンC化粧品

こんにちは、商品開発係りの平野でございます。

ビタミンC系化粧品には、大きく分けでピュアビタミンCとビタミンC誘導体の2種類が存在します。

ピュアビタミンC化粧品は海外製のものが多く、ビタミンC誘導体化粧品は、日本製がメイン。

最近はピュアビタミンC化粧品が皮膚科などでも販売されるようになりましたが、色々問題点があります。

たとえば、ピュアビタミンCは酸化しやすく、酸化を防ぐために溶剤に溶かした状態で販売されます。水に溶かせば酸化するため、それなら溶剤に溶かしてしまえという考え方で、水に溶ける溶剤に溶かしたものが一般的です。

グリコール系という水になじむ官能基を持つ溶剤などを使用します。こうすることで、ビタミンCの活性を保ちます。

活性を保つと書けばよい感じですが、抗酸化剤の効果を激減させ、製品中のビタミンCを安定化します。

ここで一つ問題なのが、本来還元剤の働きをするビタミンCの活性を極端に落とす溶剤を使用するため、肌への負担が少なからずあるということです。

抗酸化剤の活性を激減させる溶剤を肌に塗るわけですから、肌の中に溶剤が浸透すると肌本来の持つ抗酸化力を落としてしまうことも。

また、ピュアビタミンC化粧品は、製品中および肌に塗った後も酸化が進むために高濃度に配合する必要があり、25%も配合したものも珍しくありません。

最大の問題は、ピュアビタミンC化粧品は、高価にもかかわらず、効果が保証されていない点です。たとえば学会発表などは行われても、厚生労働省はピュアビタミンC化粧品のほとんどのものについてシミへの効果を認めていません。

要するに一般人に宣伝はできても、化粧品の成分に詳しい厚生労働省を納得させるデータがなく、これが一番の問題だとだと思います。いくら学会で発表しても、学会発表の審査は甘いため、そんなデータでは厚生労働省を説得するには至りません。

2012年5月27日 (日)

表皮ケアと真皮ケア その6

こんにちは、商品開発係りの平野でございます。

基底膜は、表皮細胞の足場となるため、この足場に穴が開くと、その穴の上では細胞は成長できません。

もちろん、表皮の細胞は奥底から上がるに従って、横へ広がるため、たとえ隙間があってもその隙間を埋めるようにします。結果として、角質のバリアとしては、影響は少なくなります。

基底膜は、紫外線によって、早ければ20代半ばに異常が発生することがあります。

部分的に断裂したり、中途半端に修復されて2重の膜になると、その上で生活する肌細胞にも悪い影響を与えます。

破れても修復は行われますが、それが何度も繰り返されると、波のように起伏にとんだ膜がだんだんたいらになります。

しわは一方向へ皮膚が陥没し、細長く続いた状態で出現するもの。基底膜の起伏が失われることで、その上の肌表面の起伏も失われ、キメが消失し、陥没し溝が出現します。その結果としてシワが発生します。

最初は小さなシワであってもだんだんそれが成長して、深くなっていきます。

老化すると様々な部分でトラブルが発生しますが、真皮より先にトラブルが発生するのが基底膜で、それからその下の真皮層でコラーゲンの老化が起こります。

とくに紫外線は細胞に基底膜を溶かす酵素を作るように働きかけるため、UVケアはしっかりしていただく必要があります。

基底膜の異常は真皮層の劣化よりも早く生じるため、老化の初期段階と位置づけられています。

つまり、表皮→基底膜→真皮の順に老化が進んでいきます。

2012年5月23日 (水)

表皮ケアと真皮ケア その5

こんにちは、商品開発係りの平野でございます。

数多くの化粧品成分があります。しかし、肌に塗って、真皮にまで届くというのは、あまりありません。

たとえば、保湿成分は角質層くらいまでで、生きた細胞層である表皮に届くものはかなり減ります。そして表皮の下にある真皮層になるとさらに減ります。

それは真皮と表皮の間には基底膜という膜が存在しているからです。

この基底膜の通過は難しく、簡単に真皮へ抜けさせないようにしています。

ちなみに基底膜というのは、コラーゲンから出来ています。

コラーゲンというと繊維状のものを思い浮かべることが多いですが、基底膜はどちらかというと繊維にはならず、網タイツのような網目状に平面に広がるコラーゲン膜です。

つまり、表皮から真皮に何かの物質が浸透しようとすると、この基底膜の網目を通る必要がありますが、この網目がとても細かく、簡単には通りません。

この基底膜ですが、同じ種類のコラーゲンが腎臓で働いています。

腎臓での役割は、血液を濾すろ過膜として。つまり、基底膜というのはかなり細かい目のを持つコラーゲンの網となっています。このろ過膜並みに細かい網目を通過するのは困難なため、たいていの成分が表皮止まりとなります。

ここで基底膜の役割ですが、単に表皮と真皮を分け隔てるだけではありません。

表皮の細胞にとっては、とても重要なコラーゲン膜となります。

それは、表皮の細胞は、足場依存性といって、細胞が生きていく上では必ず足場が必要となり、その足場となるのが基底膜なのです。

2012年2月16日 (木)

ビタミンC誘導体の種類 その5

こんにちは、トゥヴェール商品開発係の平野でございます。

ビタミンC誘導体を長く患部にとどめる方法の一つにナノカプセル化があります。

ナノカプセルも色々あり、リポソームというレシチンのカプセルが一番有名でしょうか。

リポソームは様々な化粧品に応用され、装置させあればなんとか出来るものです。

また、リポソームのカプセルというのは、水で分解されやすくうまく調整しないとカプセルの中身が時間経過と共に漏れやすいという問題があります。

完全に中身が漏れないようにするため、薬のハードカプセルのようなものもありますが、実用された例は少ないです。

肌の中に届く大きさで、しかも分解されて効果が大きく問題も起きないカプセル。

色々なカプセルがありますが、最近トゥヴェールで開発を進めているのが、VCH-100のナノカプセル化です。

以前にVCHエマルジョンというナノ乳化した乳液がありましたが、現在取り組んでいるのは界面活性剤は全く使わない、レシチンも使わない、そういう新しいタイプのカプセルです。

通常、カプセルは乳化剤が無いと水の中へ分散しませんが、新しいナノカプセルは静電気的な反発により水の中で分散を維持するという特徴があります。

医薬品に応用されたナノカプセル技術を使って、VCH-100をもっと面白い感じにできないかなと現在、試行錯誤しています・・・(笑)

2012年2月14日 (火)

ビタミンC誘導体の種類 その4

こんにちは、トゥヴェール商品開発係の平野でございます。

持久力のあるビタミンC誘導体といえば、油溶性ビタミンC誘導体が相当します。

なぜ、持久力かと申しますと、ビタミンCを肌へ供給する時間が長いからです。

一般的な水溶性ビタミンC誘導体は、酵素によって切断されて、ビタミンCになるための部分は一つ。

そのため、すぐに酵素によって切断されて、効果を発揮します。

一方、油溶性ビタミンC誘導体の場合は、この部分が二つ以上。ビタミンCとして効果を発揮するには、何度も切断されて初めてビタミンCとなります。

この切断に時間がかかるため、その結果、じわじわビタミンCを肌に供給でき、水溶性ビタミンC誘導体が分解された後、じっくりと効果を発揮します。

ちなみに油溶性ビタミンC誘導体は、油に溶ける部分(脂肪酸)を2つ以上持っているため、油に溶けます。

一つだけだと油には溶けることが出来ず、2つ以上で油に溶けます。

常温でオイル状のため、取り扱いが楽で、VCH-100がその代表例となります。

2012年1月31日 (火)

ビタミンC誘導体の種類 その3

こんにちは、トゥヴェール商品開発係の平野でございます。

アメリカではメジャーでも日本では全く使われないビタミンC誘導体があります。

それは、パルミチン酸アスコルビル(エスターC)というもので、アメリカの化粧品には使われるものの、日本の化粧品ではほとんど使われませんし、使うことを考えるところもほとんどありません。

酸化しやすく、酸化したものが皮膚障害を起こす可能性が示唆されたためです。

ただ、何故か手作り化粧品用のビタミンC誘導体として販売されるケースもあります。

おそらく原料の入手経路がアメリカを通しているから日本での使用実績が乏しいものが流通してしまうのでしょう。

ただ、日本でまったく使われないかというとそうではなく、マイナーな食用油(シソ油)の酸化防止剤として、使われています。

シソ油は有益な脂肪酸を含みながら酸化腐敗が早いという問題があり、その問題解決にさまざまな食品添加物を試したところ、ビタミンEより抗酸化力が強くシソ油の安定性に優れていたということで採用されたようです。

肌に使わなくても他の用途で有益性を見出された珍しいビタミンC誘導体です。

2012年1月18日 (水)

ビタミンC誘導体の種類 その2

こんにちは、トゥヴェール商品開発係の平野でございます。

ビタミンC誘導体は、ビタミンCを肌に供給する成分。

様々な形のものが今までに開発されてきました。

水や油に溶けるタイプやシリコンをくっつけたタイプなど、創造性豊かな研究者たちが試行錯誤の上、いろんなものを作りました。

ビタミンC誘導体の化粧品は、ドラッグストアの店頭や百貨店でも販売されていますが、トゥヴェールで取り扱っているビタミンC誘導体は、ドラッグストアの店頭販売では余り見かけないタイプを販売しています。

店頭で販売される商品に使われるタイプはどちらかというと、安定性を強く意識したもので、水に溶かしても何年も安定である一方、肌の中に浸透してもビタミンCにはなりにくいものが多いのです。

そのため、同じビタミンC誘導体を使った化粧品であってもニキビがてきめんに治るものがあれば、全く効果がないものがあったり・・、その作用は様々です。

ビタミンC誘導体で美白ができるのは当たり前なのですが、それにプラスαできる機能を持つビタミンC誘導体を厳選して商品化しています。

何が何でもビタミンC誘導体ならいいというものではありませんし、こだわりを持って選別して商品化しているのがトゥヴェールの特徴です。